期せずして、同じ意味のことばを違う場所で同時期に聞きました。
一つは、つい先日参加した現代美術センターCCA北九州の恒例トークイベント。
今年のCCA「PLAYTIME 2015-TALK」ゲストは、
アニエスベージャパン株式会社 取締役 アーティスティック・ディレクター藤本幸三氏でした。
エルメスジャポンの執行役員など長年勤めた藤本氏は、アートの造詣も深く。
ファッション業界とアートの関係を紐解いた話を締めたのは、「なぜ老舗は老舗になり得たのか」。
それは、マーケティングに惑わされず、変わらなかったから。
表層的なものに惑わされるな。
道具が変わっても手仕事の意味を忘れるな。
細部に宿る仕事の価値を見失わない、その心をこそ育み、伝え続けよ。
伝統を紡ぎだす見えない心意気にこそ価値を見出す。
老舗が作るものに多くの人が心惹かれる理由は、そこにあるのでしょうか。
この講座の数日前、「ゲゲゲの鬼太郎」で親しまれた漫画家水木しげるさんが亡くなっていました。
哀悼のことばが世間に溢れる中、
「見えないものこそ、大切なんですよ」と、在りし日の水木さんが話していました。
あの愛嬌のある笑顔で。
その後、再放送されたTVドラマの中、夫妻の仲睦まじく奮闘する様子に目頭が熱くなりました。
激闘の人生を楽しむように生き抜いた方のことばは、重いですね。
妖怪を化け物ではない愛おしい存在として描いた真意は、
先生のサイトや著作でわかりますので、ここでは触れません。
ヒヨッコとはいえない年齢になり、
さりとて重鎮やベテランとまでは言い出せない今、しみじみと心に沁みます。
頑なとは異なる、やわらかなブレない芯の強さを持ちたいと思います。
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