小倉織(こくらおり)をご存知ですか?
つるっとした手触りで木綿の強靭な織り物。
紬のような引っかかりはありません。
光の加減で、絹のような光沢を放ちます。
先日プレゼントされた小倉織の化粧ポーチには、
パリッとした美しさだけではなく、
生活に欠かせない道具としての力強さを感じています。
使い勝手がよくて美しいなんて、
ただ者じゃありませんよね。
そんな小倉織を復活させた築城則子さんの個展ともいえる「小倉織復元30周年 築城則子〜縞の今〜」展に行ってきました。
滝のように天井から流れる縦のシマシマは、
配色でいかようにも表現できると自負してるよう。
背筋が伸びる屹立感に、光と風が抜ける日常の手触り感。
美しさと、使いやすさの両立。
それが昔の小倉で作られていたんですね。
シャキッと生きていきなさいと言われてるような。
ため息がでるほど美しい糸の組み合わせは、
想像がつかないほど丹念な作業の繰り返しの結果。
針仕事は好きだけど不器用な私は、
機織り機の気の遠くなるような工程数にうなだれるだけ。
木綿と絹を織り合わせた羽衣のように見える着物など、ふと触ってみたくなりました。
が、そこは美術館。
ピンと張った糸で空中に浮かんでいる作品という名の着物には手を触れることはできません。
触りたければ、お店に行くしかない。
「インスタレーション」という形式の展示だそうです。
Wikipediaによれば、「作家の意向に沿って空間を構成し変化・異化させ、
場所や空間全体を作品として体験させる表現方法」だとか。
触ってみたいねぇと、連れと話しました。もちろん着てみたい。
小倉織はいま「縞縞」というブランドで制作・販売されています。
昨今は、海外でも某かの大きな賞をもらうなど名声は高まり、販路も広がっているようです。
つぎは、その機能美が一番活かされているような風呂敷が欲しいと思っていたのですが、
出口のグッズコーナーで初めて見た便箋と封筒を思わず購入しました。
いまどきの仕様でインクジェット対応です。
今治のタオルメーカーと制作したタオルやハンカチが秀逸なように、
きっと美しい手紙になってくれるはず。
私の字さえ美しければ。
願わくば機能美を追及した工芸品として仰ぎ見るよりは、
もう少しこちら側に降りてきていただき、
昔の小倉の人々が慣れ親しんだように
そこかしこで使い倒したいものです。
築城さんの研究魂は留まることを知らないのだろうなという映像をみて、美術館を後にしました。
展覧会は、2014年11月3日(日)まで、北九州市立美術館分館(リバーウォーク北九州5F)にて。
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