あっぱれ卒寿記念~福岡市博物館「藤代誠治 光と影の展覧会」~

影絵はさほど好きでも嫌いでもなかったけれど、

藤代さんの影絵なら知っていました。

 

『暮らしの手帖』の挿絵のひと、という程度です。

 

でも、先日、無理を押して展覧会最終日に行って

本当によかったと思ったので、

少し遅くなったのですが書き留めておくことにしました。

 

 

私は、同じテーマを描いても、日本画の平山郁夫よりも

藤代御大のほうにより凄味があると思いました。

 

パッと明るくみえる画でも、ずしりと重い。

 

いろいろな意見や感想があって当たり前ですが、

もし、平山が瓦礫の東北を描いたとしても、

やはり同じ印象をもったんじゃないかと私は思いました。

 

 

東日本大震災に見舞われた東北、広島の原爆ドーム、軍艦島などの画に

それほどの胆力を感じたのです。

 

絶望も希望も祈りもすべて昇華した画。

 

大震災の画は、80代後半に入ってからの制作です。

 

大きな画を前に立ち尽くすひとの多かったこと。。。

幼子をあやしながら若いお父さんがじっとみつめたまま動きませんでした。

 

そうして薄暗がりの展示場を巡っているうちに、一人の画家を思い出していました。

 

シャガール。

 

詩的なふわふわした画が有名ですが、

ユダヤ人として描いた一連の宗教画に驚いたことがあります。

なにか胸の奥に重しを置かれたような気持になりました。

 

と同時に、文字どおり目も眩むほどだった極彩色のステンドグラス。

 

南仏のシャガール美術館の光輝くステンドグラスは、

もう20年近く前(!?)になるのに、目に焼き付いています。

 

その祈りに満ちた光を、博多の福岡市博物館で思い出していました。

 

食事にも好き好きがあるように、画にも好みがあります。

観に行けなかった家人から是非にと頼まれたものでしたが、

行ってよかったと再度書いておきます。

 

絵本の挿絵も、にぎやかな猫の群像も、太宰府も山笠も

大小に関わらず見入るものばかり。

 

小憎らしい細工や愛嬌がいたるところにちりばめられ、

そのサービス精神には本当に頭が下がりました。

 

教会とステンドグラスがある那須塩原の藤代清治美術館には、

ぜひ家人を連れていきたい。

プロジェクションマッピングに挑戦する意欲には、きっとひれ伏すでしょうね。

 

 

ピンチヒッターとして最終日の昼前に滑り込んだ展覧会。

すぐ近くのヤフオクドームでは、ソフトバンクホークスの

GW9連戦の最終戦が始まる直前。

展覧会往きのバスもおかげさまでメチャ混みでした(^^